加齢黄斑変性;大出血を起こす前の治療が大事です。

 加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、見ようとする中心部分が見えにくくなる病気です。黄斑に生じた異常血管の瘤から大出血を起こすことにより、極度の視力低下を引き起こします。欧米では成人の失明原因の第1位です。日本では比較的少ないと考えられていましたが、社会の高齢化と生活の欧米化により近年著しく増加傾向にあります。50歳以上の人の約1%にみられ、高齢になるほど多くみられます。比較的最近まで治療法がなかったのですが、最近いくつかの治療法が新たに開発されて、早く見つければある程度の視力が維持できるようになってきました。

 左の格子を片目ずつで見てみましょう。真ん中の白い点を注意して見たとき、ゆがみの症状があれば、加齢黄斑変性の可能性があります。早期発見・早期治療が大事な病気なので、症状をお持ちであれば受診してみてください。

 

 ※他の黄斑疾患(近視性黄斑症・しょう液性網脈絡膜症・糖尿病黄斑症)でも、同様の症状が起こります。

硝子体への薬剤注入

 現在、ルセンティスまたはアイリーアという薬を、眼の中に注射する方法が、最も効果的で比較的安全・簡便とされています。目薬の麻酔の後、注射の時にチクッとするだけです。当院では、予防接種などの注射針より細い針を使用していますので、痛みはあまり感じません。消毒操作を含めて、10分程度で終了します。その日のうちにご帰宅いただけます。

 この薬は、視力低下の原因である異常血管の瘤(脈絡膜新生血管)を小さくする効果があります。極めて重症な場合を除いて、ほぼ100%の治療効果が期待できますが、再発も多いため、初回の場合は毎月1回の注射を3カ月連続で行い、以後も悪化に合わせて追加投与することが推奨されています。

 この治療は、特に病気の起こり始めに有効です。大出血を起こした後では、何度治療を行っても有効な視力には戻りません。適切なタイミングでの治療が望ましく、やはり専門性が問われる治療と言えます。 遠方にお住みの患者さんも、当院へ来院いただいています。

硝子体注射(動画)

加齢黄斑変性の悪化予防に、

 重症加齢黄斑変性で片目が失明してしまった方の反対眼の悪化予防、または初期加齢黄斑変性の悪化予防目的に、サプリメントをお勧めしています。ホウレンソウなど緑黄色野菜に含まれるルテインという色素が、加齢黄斑変性の予防によいと言われています。ルテイン含有量が最も豊富で、1日1回と摂取し易い、サンテルタックス20が最良と考え、当院前の調剤薬局にて販売することに致しました。